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フレンチで仕掛ける真夏の肉祭り 皇族もてなした父が待った挑戦の時

本間沙織
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「欧風食堂 サラマンジェF」を営む藤井恭祐さん(左)と父の正和さん=2026年7月22日、福井市、本間沙織撮影

王道のコース料理でもてなすフレンチの店に、変化が起きている。この夏の企画は「真夏の肉祭り」。新境地に挑んでいるのは、父とともに13年間の店の歩みを進めてきたシェフの藤井恭祐さん(36)だ。

福井駅から歩いて5分ほどの場所にある「欧風食堂 サラマンジェF」。8月末までの肉祭りでは「家族みんなで美味しいお肉を囲もう」とうたい、ステーキや牛カツ、とんかつも出している。

恭祐さんは「食堂だから、フレンチをベースにはするけれど、枠にこだわらなくてもいいと思えるようになりました」と言う。

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牛かつとソースを調理する藤井恭祐さん(右)と父の正和さん=2026年8月13日、福井市、本間沙織撮影

東京のミシュランシェフのもとで修行し、23歳だった2013年に父の正和さん(59)と一緒に店を始めた。県外の一流店で修行した福井出身の料理人に、県が開業経費を支援する制度の「第1号」となった店。メニューはコースのみとした。

父の正和さんは、福井で開かれた05年の国民文化祭や09年の全国植樹祭の時に、当時の皇太子さまや天皇・皇后両陛下の料理を担当したシェフだ。その背中に学んだ。

父だけではない。店には毎年、正和さんの人脈で各地の名だたるシェフが招かれ、一緒に特別メニューをつくる機会ももらえた。「それぞれのシェフとの出会いの中で、それまでに学んだ料理の素材や工程の意味を再確認したり、自分らしさをより追求したりするようになった」という。

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「欧風食堂 サラマンジェF」のイベントで、教え子だった藤井恭祐さん(左)とともに厨房に立つ松本浩之シェフ(左から2番目)=2025年、同店提供

新たな挑戦の始まりは2025年の春。正和さんがしばらく店を空け、1人で切り盛りすることになった時だ。「ワンオペ」でフルコースを提供し続けるのは難しい。かねての「何か新しいことをやる」との思い。その機会にできると感じた。

コースではなく、仕入れ先との信頼関係も厚い牛肉を使って、期間限定のステーキで勝負してみようと考えた。

国産牛をフレンチの手法で丁寧に火入れし、外は香ばしく中はしっとりとやわらかく仕上げたステーキ。ロースを100グラム1200円で出すと、県内外から初めてのお客さんが多く訪れ、年齢層も20代などへ広がった。ソースの種類も増やし、「もっと食べたい」という声を受けて、50グラム単位で最大450グラムまで選べるようにもした。

そして、父はいま……

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「欧風食堂 サラマンジェF」の期間限定の牛かつ=2026年8月13日、福井市、本間沙織撮影

次に目をつけたのが、とんかつ。国産の豚肉に素材の配合の微調整を重ねた衣をまとわせる。こちらも期間限定でスープと野菜のマリネ、おかわり自由のキャベツ、ごはんをつけて150グラム1650円にすると、盛況だった。

正和さんは「恭祐は吸収する時期。自分から挑戦すると言い出すのを待っていた」という。ステーキやとんかつと聞いたときは驚いたものの、「調理法やソースなどにフレンチの要素がしっかり入っている。新しい発想で、自分にはできなかった」とほほえむ。

それ以来、通常のコース料理を構えつつ、たびたび肉料理を出す期間限定のフェアを打っている。正和さんは仕込みは手伝うものの、営業中はホールスタッフに専念するようになった。

恭祐さんは「誰もが一口食べておいしいと思えるものを、絶対の自信を持って作りたい。1ミリでも進化できるよう、腕を磨き続けたい」と話す。これからも挑み続けるつもりだ。

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「欧風食堂 サラマンジェF」の期間限定のとんかつ=同店提供
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期間限定の牛かつを提供する「欧風食堂 サラマンジェF」の藤井恭祐さん(左)と父の正和さん=2026年8月13日、福井市、本間沙織撮影

 

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