お世辞抜きに圧巻!
新しくなった東京會舘のレストラン「プルニエ」に抜擢された、元レストランFEUの松本シェフの料理を食べに行きました!
同じ時代に下積みを積んだ世代で、ルーツが見える料理をモダンに仕上げるのに定評のあった松本シェフ。
あくまで「再構築」ではなく、しっかり調理して「モダン」に見せるスタイルは、とても勉強になり、判りやすく美味しい料理で大好きでした。
今回は街場のシェフが同じ街場でも、桁外れの會舘のシェフに抜擢です。
時代も違うし一概に言えないですが、
駆け出しの料理人時代の「昭和」の頃、現 東京ドームホテルの料理長 鎌田昭雄 料理長が、
六本木「オー・シュヴァル・ブラン」から「ホテル西洋銀座」の料理長に抜擢された時、街場の宝がホテルに取られてしまったと言われたと耳にしたのと変わりない感覚です。
何度もお会いしている松本シェフが昔から口にしていたのは、
「やはり昔からの料理は美味しい、何故このソールボンファンは、こんなにも美味しいんだろう?」
だから休みの日は、この調理場に入れてもらって勉強させてもらっていると、しみじみ言ってた時がありました。
今の働き方改革からでは、有り得ないでしょう。
今回は、ドーバーソールをアンティエでムニエルにし、デクパージュしてくれました。
ポアレ全盛だった「平成」では、出番がなかったムニエルさん。澄ましバターで焼くことよりも、粉を塗すことがクローズアップされ、バターの使用量からも時代的に敬遠されがちでしたね。
今の時代、ドーバーソールを使うこと自体、時代に逆行かも知れないです。
地元の良い魚を使って、地元の、地元の、地元の・・・、もちろん地元の物で成り立つだろうし、成り立たせなくてはいけない時代なんだろう、否定はしない。
ただこの美味しさの構築は、魚が置き換えられても他のことをしっかりしての話だと思う。
載せた写真からも、榛色のバターがたっぷり見えて、「今の時代に?」と思う方もいるでしょう。
知り合いだから書くのではなく、お世辞抜きに、このブールノワゼットの美味さと言ったら悶絶の領域でした。
まず、塩味が別れておらず、ある意味ドレッシングのように乳化してるのか?と思うほど、バターの味が一体化されています。
付け加えるならば、全然重くないです。
こんなに美味しいフランス料理は、時代に関係なく伝えられるべきだと心底思いました。
ここに書くのが良いのかどうか判りませんが、僕の大好きなイタリアンの山田シェフも、今回食べたときの事を前回載せましたが、もちろん良い食材、的確な下処理、火入れ加減、美味しさの構築、は、常に言われています。
改めて安易な言葉でオリジナルとか、地元の素材に置き換えた別料理ではなく、そこには受け継がれてきた大事なポイントや内容が入っていないといけないなと思いました。